Poggenpohl Tokyo +STORIES Kitchen Studio in Tokyo
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女性料理人のエクレクティックなアトリエ

東京の瀟洒な住宅街にある料理アトリエ「代官山キッチンスタジオ」です。オーナーはパリで料理を学んだ有名な女性シェフ・マカロン由香氏。出張料理人としてパーティフードを依頼されたり、料理教室を開いていたりしています。約40平方メートルのアトリエの半分以上をしめるのがポーゲンポールのキッチンです。東京・広尾のポーゲンポール・キッチン・デザインセンターでも料理教室を開いていた彼女は、体験的にその良さを知っていました。アイランドと壁一面のバックセット収納は、様々な料理の現場を知る彼女によって緻密にプランニングされています。

 彼女のキッチンを貫くキーワードは「エクレクティック(折衷)」ということ。 まずデザインイメージは、男性と女性のエクレクティック。オーナーは目元の涼しいほっそりとした美しい女性ですが、仕事は男性並みにこなすプロの料理人。「甘いクラシックキッチンで料理をするマダムのようなイメージではありません。女性らしさを大切にしながら、キビキビと動く私たちの仕事をスタイリッシュに見せてくれるのが、ポーゲンポールで見つけたグレージュの扉材でした」とプロとしての潔さを引き立てるデザインを高く評価します。横に木目が流れる扉のデザインは、ナチュラルなストライプを空間に描きます。「美食家の男性や子供向けの料理教室も開きます。どんな年代の人でも背景になってくれるのもいいですね」。

 そして空間全体は、プロの厨房と家庭のインテリアのエクレクティック。助手を含め何人ものスタッフや生徒が動ける機能的な動線を確保しながら、ほっとくつろげる雰囲気に。そんなインテリアキッチンを「teak wood」の美しい扉で実現しています。「プロが料理をする場所ですが、私のスタイルは美しく心地よいキッチンであること。長靴を履いて、床を水で流して洗う業務用の厨房とは違うんです」とオーナー。

 長い6mの調理スペースは表情豊かなブラウン系のクオーツストーンを採用。高火力の5口ガスコンロと、2口のIHクッキングヒーターはカウンターの両脇に離し、それぞれぶつからず作業できます。食器や鍋もプロも満足するレベルの家庭用製品を愛用しているので、「ステンレスの厨房より家庭のキッチンをイメージした収納の方がしっくりきます」と話します。引き出しに大きな鍋を10個以上入れても、ポーゲンポールのキャビネットはガタつくことなく、高機能なスライドレールでスムーズに開け閉めができます。

 壁側キッチンのシンクは特注の幅1,100mmのワイドシンクで水栓は2つ。これも並んでの作業のための選択。シンク前の壁には棚板を渡したオープンシェルフを取り付けました。お気に入りの料理道具や著書であるレシピ本、アピールしたいものを飾り、オーナーの思いを表現できるエモーショナルなコーナーです。オーナーの身長に合わせた吊り戸棚もつけています。

 ラグジュアリーだけどどこかストイック。そんなスタイルをエクレクティックに表現したキッチンは、マカロン由香氏の生き方そのものです。

(文:キッチンジャーナリスト本間美紀)